北京(2003/02/10)
eawind
今日は朝から忙しい一日となった。まず、早朝6時過ぎに北京に着くと、地下鉄に乗って北京駅の隣にある建国門というところまで行き、日本大使館の場所を探る。日本大使館自体には用件がなかったが、その隣にある日本文化交流センターというところに行きたかった。ここは、中国語の先生の彼女から無料でインターネットができると紹介されていたからだ。ただ、時間が10時からということで、諦めて次はカザフスタン大使館に向かうことにする。
まず、タクシーに乗って三里屯まで行き、そこから歩いて大使館を探す。北京の各国大使館は、古くからあるものは建国門そばに、比較的新めのものは三里屯にある。しかし、このカザフスタン大使館を探すのに大変苦労した。まず、タクシーの運転手がよく場所を知らず、かなり目標地点から手前のところで降ろされ、その後、各大使館前にいる警備兵に尋ねて回りながら、その数約10人目くらいのところでようやくカザフスタン大使館を見つけることができた。
各大使館とも北朝鮮の亡命者による大使館駆け込み事件が多いせいなのか、警備兵の数がとても多い。また、大使館前に立っているだけで、怪しまれて「何をしている!」と尋問され、身分証までみせることになる。早速、カザフスタン大使館に着くと警備員にビザが欲しいということを伝える。事務の開始時間は9時からだという。開始時間までまだ一時間以上あったので、少し離れたところに朝食を食べに向かう。
この日の朝食は暖かいスープに入った水餃子で、これが2元と大変安く、冷えた体を温めてくれて、且つ美味しい。その後、開館の時間になったので再度カザフスタン大使館に引き返す。入り口には10人くらいの待ち人の行列になっており、皆で一緒に開門を待つことになった。9時を過ぎて20分位したところで、遅れて門が開き受付が始まった。ただ、受付といってもきちっと列が出来てというわけではなく、10人の塊がワッと窓口に殺到する。私は唖然として、立ち尽くして、場が落ち着くのを待つ。
しばらくすると、中日辞典を抱えた青年が現れ、こちらも日本のパスポートを抱え持っていたのですぐ日本人同士だとわかり、話し込む。何でも彼は先週の金曜日にこの大使館に来たのだが、ビザ発行の受付が月曜日と木曜日の週二日しか行っていないため、ずっと北京で時間をつぶしていたのだという。情報がないと大変だ。自分はインターネットでこの週二日制のことを知っていたので、待たされることはなかった。彼と一緒に受付口に佇み、しばらくして彼のほうが待ちきれず受付の窓をたたく。彼は英語で「インビテーションを持っているから、受付してくれ!」と叫ぶ。アピールが通じたのか、係員からビザ申し込み用紙をもらうことができた。彼は親切にも僕の分もとってくれた。
しかし、ここで困った問題に気づいた。どこの国でもビザ発行時には証明写真が必要なのだが、日本で取った写真を持ち忘れてしまっていることに気づいた。受付に聞いてみるが、ビザ発行には絶対必要とのことなので、急いで写真を取れる場所を聞き、大使館を一旦あとにする。
幸いなことに写真は近くの写真屋で15分くらいで現像してもらうことができ、急いで舞い戻る。何とか無事に受付を済ませることができた。ちなみにカザフスタンのビザを発行する場合、インビテーションという書類が必要である。これは現地の法人や個人が「この人をわが国に招待しますよ。」という趣旨の証明書で、発行から数日後、ビザを取得したい大使館に送り届けてくれるというシステムである。インビテーション取得にUS$75、ビザ取得にUS$65、その後現地についてからインビテーション発行会社を訪問して外国人登録をするのにUS$35、合計US$175もかかってしまう。とても高い。中国はビザのみで入国可能だが、旧ソ連邦の国ではこのインビテーションが必要な国が少なくない。この先、いろいろ困りそうだ。
カザフスタン入国ビザの手続きを無事に済ませ、受け取りの時間が夕方4時半と時間が余ったので、もう一度北京駅に引き返し、上海までの切符を買うことにした。いままで、列車の切符は代理店を通して買っていたので、毎回30元の手数料を取られていたが、直接駅に買いに行けばこの手数料がかからないことに、このとき気づいた。しかも上海行きの切符を買う際に「最便宜的!(一番安いの!)」とお願いしたら、なんと88元で買うことができた。大連に行き来するのに片道250元ちょっとしていたのに比べると、しかも上海行きのほうが距離が倍くらいあるのに半分以下の値段である。が、この列車の恐ろしさを後で気づくことになる。というのも、カザフスタン大使館で出会った日本人の青年も言っていたことなのだが、一番安い硬座席にずっと座り続けて移動することの大変さを、このときの僕は知る由もなかった。
切符を買い終えると、近くの食堂に入って、酸菜麺を食べた。このとき、お店の女の子たちが自分にいろいろと質問してきて、今自分が中国からヨーロッパまで旅行していることや、今日大連から戻ってきて、明日上海に向かうことを話した。ついでに今日の宿が決まっていなかったので、近くに安い旅館があるかどうかを尋ねてみた。そうしたら、女の子の一人が、どうやら仕事がそろそろ終わるらしく、一緒に探してくれるという。
食事が終わると、店を一緒にでて、裏手の安宿を何軒かまわってくれる。しかし、北京の安宿、厳密に言えば星級が付いていない旅館は、前にも同じことがあったが、外国人には宿泊禁止だ。数軒回ったが、カザフスタン大使館に再度戻らねばならなかったので、諦めることにした。彼女に大使館に行った後、自分ひとりで以前に泊まった前門付近の宿を探すことを伝えると、タクシーを拾ってくれまでした。彼女は寧夏回族自治区の出身だそうで、北京に来て2年になるという。途中道を歩いていたら、彼女のお兄さんにあって、電話番号の交換をした。お兄さんも同じ店で働いているという。
大使館に戻ると、無事ビザを取得することができ、その後、前門まで移動して、道端にいる旅館案内のおばさんに宿を案内してもらい、この忙しい一日が終わった。