広州・香港(2003/02/15)
eawind
目を覚ますと外の景色は東南アジアみたいな亜熱帯の風景に変わっている。11:18に広州駅に到着する。ここから香港までは列車を乗り換えなければならない。香港までの列車は広州駅ではなく広州東駅から多く出ているので、そこまでは地下鉄に乗っての移動となる。広州の地下鉄は上海と同じく、いやそれ以上近代的で、ホームと線路との間に自動扉の付いた仕切り壁が設けられていたりする。改札や切符販売もすべて自動である。一旦地下鉄を乗り換え、数十分で広州東駅に到着した。
広州東駅に到着してから、まだ香港行きの切符を購入していなかったので、販売所を探し歩いている途中、大学生くらいの女の子が声を掛けてくる。なんでも電話をするお金がないとのことなので、上海で買ったテレホンカードを貸す。そうすると、もう一人同い年くらいの同伴の女の子が現れる。話によると二人は北京大学の学生で、香港に何かの学校の用事で来たらしく、その後教授たちとは別に自由行動で広州まで来たのだが、お金がないから困っているという話だった。翌日に教授が広州に来るので、それまでの話だということだった。数日前に上海で危うく騙されかけたので、詐欺に対して警戒心を強くしていた。これはだいぶ怪しい話だと思った。ただ、まだ列車の出発まで時間があったので、騙されないように気をつけながら、話に付き合ってみることにした。
一人目の女の子が電話をまだしている最中に、今教授と話をしているのだが、自分も話をしてみろという。だが、話をしてみても何を言っているのかよくわからない。そうこうしていると、今度はいい場所を見つけて、少し話をしようという。とりあえず、近くの公園に行く。そうすると、同級生だという男性が現れて、彼が北京大学の学生証をみせる。本物かどうかなんて僕にはわからない。それで今度は北京大学にFAXを送りたいので、お金を貸してほしいという。それから更に、明日までお金がないので、一緒に行動してそれまでのお金を貸してほしいともいう。ここまで、と思った僕は「僕は貸すことができない。そんなにお金がないなら警察に行きなさい。」と言って公園から離れた。ほんとにお金に困っているなら、こんな貧乏旅行している外国人にお金を借りることはありえない。
駅に戻ると、さっと切符を購入して、列車に乗り込んだ。座席に座ると回りで話している言葉は広東語だらけで何を言っているのかさっぱりわからない。隣に綺麗な若い女性が一人で座っていた。特に話しかける話題もないのでそのまま。列車はとても近代的でいよいよ香港といった感じだ。広州東から香港までは2時間くらいを要した。途中、深センを過ぎると川が流れていて、そこを超えると駅の案内看板や広告が簡体字から繁体字に代わり、香港に入ったことがわかる。同じ中国だが建物や道路を見ると香港と大陸ではずいぶん違いがある。隣の女性が網棚の荷物を取りにくそうにしていたので、取ってあげた。
駅に到着すると、中国元を香港ドルに換える。そして、ニッキーたちに連絡して、九龍駅のスターバックスで待ち合わせを約束する。時間があったので、駅構内にあるスターバックスに入ってコーヒーを飲む。しかし、約束の時間になっても彼らは現れない。もう一度電話する。もう数十分で到着するという。またスターバックスに戻って待っている。しかし、まだ現れない。再度電話する。どうやら話をしてみると、九龍駅は二つあって、ひとつは地下鉄の九龍駅、もうひとつは自分のいる列車の九龍駅なのだそうだ。しばらくするとニッキーがやってきた。電話をしてから3時間くらい経ってようやく会うことができた。知らない土地での待ち合わせは結構大変なものである。
さて、もうその頃は日も落ちて暗くなっていて、夕食の時間になっていた。なんでも、この日はマンチェスター・ユナイテッドとアーセナルの一大決戦があるということで、一緒にスポーツバーに行って観戦しながら、夕食を食べようと誘ってくれた。ここで、久々に中華料理ではなく紅茶を飲んでステーキを食べての西洋料理にありつけることができた。
日本にいると、毎回和洋中といろいろな料理を食べることになるが、大陸にいるとほぼ毎日中華料理を食べることになる。おいしいけど、日本の多様な食文化に根ざして生活している僕には、さすがに飽きが来ていた。だから結構ほっとする。試合はアーセナルが2−0で勝利した。なんでも、試合後にベッカムが監督に顔を蹴られて怪我をして、一大問題になったということが後々騒がれていたようだ。
そのあと、ネイサンロードの方に出て、香港版の甘味処?に行って、デザートを食べた。店の前には日本の雑誌で紹介されたことを宣伝するために、その雑誌がディスプレイされていた。日本人もよく来る店なのだそうだ。トミーが宿探しを手伝ってくれた。しかし、大陸の価格に比べると、香港のホテルは結構高く付くので、僕がウダウダしていると、見かねたトミーが家に泊まって良いと言ってくれた。ずうずうしいながらも、この先のヨーロッパまでの旅路を考えると、節約は必須だったので、もちろん甘えることにした。
ネイサンロードから、二階建てバスに乗ってトミーの住む高層マンション街に向かう。このバスから見る香港の夜景がとてもきれいだった。驚いたのはトミーの家はマンションの最上階にあって、なんと38階である。エレベータに乗ると、途中で耳が痛くなるくらいの高さだった。そこで申し訳なくもお邪魔して休むことになった。