敦煌⇒ハミ⇒ウルムチ(2006/03/05)
eawind
朝方、9時に二本のウルムチ行きの列車があると聞いていたので、早速行ってみると、いまだに列車は動き出していない。楊さんはここで諦めて、バスで蘭州に帰ることにして、敦煌市内に引き返してしまった。自分は一人待合室で列車の開通を待つ。数時間か待った挙句、雪まで降り出して来た。
最悪の天候である。駅で待っていると、いつものタクシー運転手が現れ、今日は列車は動きそうにないので、宿に泊まるか、バスで移動するかどちらかにしたほうがいいと言う。この安西駅付近は寂れたほとんど何もない土地なので、後何日とどまらなければならないのかもわからない状態で、じっとはしていられない。それなので、楊さんと同じく一旦敦煌市内に引き上げて、バスを探すか宿を探すかにしようと思った。タクシーにのって敦煌まで連れて行ってもらうようにする。
途中、高速道路の入り口があって、ここからハミという町まで車で行けば、ウルムチまでのバスがあるという。敦煌市内に戻ってバスに乗るとすると、一旦ハミかトゥルファンまで行って、そこからまたバスに乗り換える必要があるという。それならばタクシーで移動してはどうかと、タクシーの運転手はせがむ。値段は500元。かなりの出費だが、2時間掛けて敦煌市内に戻ってバスを待つより、確かに早く進むことができる。値切っても無駄で500元は譲れないという。結局、タクシーの運転手に負け、500元でハミまで移動することに決めた。
このタクシーの運転手が結構、陽気なおっちゃんで、なかなか道中は楽しかった。カセットデッキが壊れていて、楊枝でボタンを抑えてようやく再生できるようになっていて、音楽をガンガン掛けての移動となる。道は平坦でどこまで行っても荒野、荒野、荒野の連続。音楽が終わると、おっちゃんは歌いだす。歌い終わると今度は日本語の歌を歌えという。しょうがなく、赤とんぼを一番だけ歌う。いい歌だと誉めてくれる。それからあくびをしだして眠いから、おまえが運転しろという。免許はないので、無理だと拒む。まったくいい加減なおっさんだ。でも愛嬌があって子供みたいでおもろい。
途中、トイレ休憩に停車する。すると運転手はいつのまにか寝ている。しょうがないので、30分くらい休憩にしてあげる。起こしてまた出発する。彼はもともと河北省の出身だそうで、軍隊に入隊した関係で甘粛省に越して来たという。今は奥さんと高校生の息子が一人いるそうだ。中国に来てから1ヶ月、自分の中国語もだいぶ上達してきて、こうした会話ができるようになっていた。
こうして夜の7時にはハミ市内に到着した。早速、バスステーションに行って運転手が8時発のバスチケットを取ってくれて、残り時間を一緒に夕食を食べて過ごす。ここでも炒麺を食べた。店員のおばさんはウイグル人なので、ヨーロッパ系の容姿なのだが、中国語を喋っていてものすごい違和感があった。
食後、バスターミナルでこの陽気な運転手と別れて、バスに乗り込むと、もうすでに満員になっている。周りの話を聞いていると、やはり列車に乗れずにバスで移動しているという人が大半らしく、それでこれだけ混んでいるのだろう。あたりは暗くなっており、夜のまっすぐな新疆ウイグル自治区の荒野をバスはひた走っていく。