サンクトペテルブルク(2003/04/03)
eawind
早朝、宿でチーズパンとフルーツドリンクとヨーグルトをもらい、これを食べる。今日はまず、次に行くミチュリンスクまでの切符を買いに行く。モスコフスキー駅のカウンターではどこも英語が通じない。それなので下手なロシア語を駆使しながら何とかチケット購入に成功する。出発は明日の夜である。モスコフスキー駅からネヴスキー通りと言うのが始まっていて、これがペテルブルクのメインストリートである。
途中カザン大聖堂と言うのがあって、ここに入ってみる。中は静かで、ロシア正教会の趣を味わうことができる。料金は無料。聖堂を出ようとしたとき、松葉杖をついた物乞いが外に出たそうにしていたので、ドアを開けてあげる。ついでにお金を恵んでくれと言うので、2ルーブル渡す。しかし、ロシアには物乞いが多い。カザフやキルギスでもそうであった。中国にも確かにいたが、それ以上に多い。おそらく旧ソ連圏の国々ではペレストロイカ以来の経済貧窮状態の爪あとが残っていて、こうした物乞いを生んでいるのだろう。政府がきちっとした保養施設をつくって、保護しなければいけないと思う。大体、外国人に対して物乞いがお金を要求するような状況を、国民が恥ずかしいことだと思わないのかと思う。見ていると本当にどうしようもなく物乞いをしているような人はいる。たとえば、まだ若い女の子が赤ちゃんを抱いているとか、片足がない、片腕がない、下半身がない等々である。しかし、元気に通りを歩き回りながらお金を要求してくる不届きものもいる。後者のタイプにはお金を上げる気にはまったくならない。あの松葉杖をついた物乞いにお金をあげたが、その後僕が去った後で、松葉杖をぽんと放り投げてなんでもなかったように歩いていったらどうしようと思いながら、お金をあげたことに対して複雑な気持ちになった。
その後さらに歩いてイサック大聖堂にも行ってみる。こちらの方がカザン大聖堂よりも有名であるらしい。しかし、何でも5月がサンクト・ペテルブルクの300年記念祭があるらしく、外回りの工事中である。お金を払うと中に入れることになっていたが、料金が割高だったので止めることにした。
今度は中心部に引き返し、ショスタコービッチ・フィルハーモニック・ホールまで行ってみる。今日はアシュケナジーの指揮でラフマニノフの交響曲2番とピアノ協奏曲3番をやることになっていた。クラシックファンの自分としては折角来たのだから聞いていってみようと思い、チケットカウンターへ行ってみる。開演まで数時間であったが、チケットが意外に残っていて、一番安い席を買うことにした。開演までインターネットカフェに行こうと思い、地下鉄に載って移動する。1時間情報集めをした後、ホールのそばまで戻って、ウィンドウショッピングをして時間を潰す。
開演が19時からで、時計を見て開演の30分前にはホールに到着する。だが、何か静か過ぎる。おかしいなと思いながら、クロークルームに上着とリュックを預け、ホールに入る。しかし、もう演奏が始まっている。そういえば3月30日からサマータイムに入っていて、その時に知ってはいたが時計を一時間早めなければならないのを、うっかりそうしていなかった。仕方なく途中からホールにそっと入って演奏を聞く。
最初のピアノ協奏曲が終わると、休憩になったので、席につく。すばらしい交響曲の演奏を聞き終え、拍手喝采となる。隣の席に同年代くらいの青年が座っていて、イチ・ニ・のサンで「ブラボー!」と叫ぼうという。何度か一緒に叫ぶ。そして、アンコールの演奏ではボーカリーズが演奏される。アンコールが終わると、またブラボーをいっしょに青年と叫ぶ。最高の演奏会であった。演奏会が終わったときはすでに22時近くなっていた。地下鉄に乗って、途中夕飯にシャベルマを食べて、ビールを買って飲み歩きながら宿に戻ってくる。