クルガン(2003/04/15)
eawind
朝になると、おじいさんが家にやってくる。今日は昨日映画でみたようなロシアの片田舎に連れて行ってくれるという。クルガンからお父さんのクルマで一時間ほど行ったプーシキンスカヤという村に行く。ここにはおじいさんの知り合いがいて、チーズとサワー・クリームを譲ってもらっていた。ここには一頭の馬と三頭の牛、それに二羽の鶏と、一匹の犬がいた。本当にのんびりした田舎の村である。数十分ここでくつろぎ、天然のミルクをご馳走になって、すぐに帰ることになる。お父さんのクルマではイーグルスが流れていて、知っている曲が何曲かあったので自然と口ずさむ。広い平原とまっすぐな道、それにイーグルス。すごく気持ちがいい。
一時間ほどでクルガンに戻ってくると、ジャックがクルガンの博物館に連れて行ってくれる。博物館の前には第二次大戦の記念碑が並べられていて、ここにジャックの母方のおじいさんの名前があって、見せてくれた。おじいさんはウクライナでパルチザンに参加して戦死したそうである。博物館に入ると一階にたくさんの動物の剥製が展示されている。二階にはモンゴル統治時代と近代のクルガンの資料が展示されていた。
夜になると、ジャックのおじさんの家族がやってきて、みんなでバーニャ(ロシア式サウナ)に行く。今日のバーニャは間違いなく良いものだと言う。クルマで10分ほど行ったところにそのサウナはある。クルマの中でラジオを聞いていると、僕のニュースが流れる。DJが何を言っていたのかはわからないけど、昨日収録したあのジングルが流れる。
バーニャは日本のサウナとは違って、水着を着て入るので、男女関係ない。バーニャは適度に暑く、気持ちいい。しばしすると、お父さんが枝つきの葉っぱを持って入ってくる。そこに寝なさいと言われ、うつぶせに横になる。そうすると、その葉っぱでバシバシ叩かれる。白樺や樫の木、カエデなどの葉のついた枝(ヴェニキという)らしい。これがロシア式サウナである。叩かれるのは痛いけど、なんだか気持ちいい。サウナを出ると、水のプールに飛び込む。冷たいけど気持ちいい。それを数回繰り返し、途中ビールを飲んで、つまみを食べ、ケーキと紅茶を頂く。そのあとまたバーニャに入る。怒涛のサウナ攻撃の後、家に戻る。
家に戻るとジャックの母方のおばあちゃんがテレビで昨日の僕のインタビューを見たという。ここクルガンで少し有名人になっちゃったか。出発少し前に映画館の友達も家にやってきて、お別れのウォッカをグラス一杯一気に飲む。
夜の1時に駅に行ってキエフ行きの列車に乗る。駅まではジャックとお姉さん、お父さん、お母さん、それに映画館の友達が見送ってくれた。出発前にホームでお姉さんが列車の中での注意をしてくれた。なんでも僕の車両にはたくさんのシベリア帰りのロシア軍兵が乗っていて、危ないので絶対話をしたり、お酒を飲んでは駄目だと忠告してくれた。なんでも達の悪い連中なので強盗に遭う危険性があるということだった。お父さん、ジャックと握手をし、お母さんとお姉さんは頬にキスをしてくれた。
列車に乗ると何人かのロシア兵がタバコをくれとせがんでくる。とりあえず、悪く思われると、後が大変なので、タバコを配っておく。